「寒すぎる家は嫌」「冬でも快適に過ごせる暖かい家が欲しい」とお考えの方は多いでしょう。ここでは、北海道・苫小牧・千歳・恵庭エリアで暖かい家を建てたいとお考えの方のために、一軒家を暖かくする方法をご紹介します。ぜひ家づくりの参考にしてください。

伊藤修平さん
住研ハウス苫小牧本社の建築部長。暖かい家づくりの豊富な知識に限らず、2級建築士や増改築相談員・既存住宅現況検査技術者・BIS-M・外壁診断士など多数の資格を持つ。
窓編
暖かい家を作るためには、外気温の影響を受けないようにすることが大切です。実は、住宅の中でも特に外気温の影響を受けやすいのが「窓」。冬の暖房の熱が逃げる割合は、窓が58%で、外壁の15%の約4倍※です。せっかく高気密・高断熱の家を建てても、窓に対策をしなければ、室内の温度を快適に保ちにくくなってしまいます。
おすすめは、窓の性能にこだわること。ガラスは主にガラス1枚の「単板ガラス」より、ペアガラスやトリプルガラスの方が断熱性能が高まります。また、アルミ製サッシは断熱性の低い上、結露しやすいため、樹脂サッシや木製サッシを採用した方が良いでしょう。
※参照元:一社)日本建材・住宅設備産業協会(https://www.kensankyo.org/syoene/qanda/mado/a_9.html)
壁編
家が寒いと感じる理由は、壁の断熱性にあるかもしれません。近年の住宅には、壁や床、屋根などに断熱材が施されていますが、もともと断熱材が十分でなかったり、経年劣化によって断熱材の機能が劣化したりすると、断熱性能が低下してしまいます。
壁は、家の中でもとくに大きな面積を占めるため、しっかりと断熱材を壁に施工し、断熱性能を高めることが大切です。
断熱性能を高める方法には、「充填断熱工法」と「外張断熱工法」の2つがあり、断熱材にも「無機繊維系断熱材」「木質繊維系断熱材」「発泡プラスチック系断熱材」などさまざまな種類があります。それぞれ長所と短所があるため、コスト、性能などを踏まえた上で選びましょう。
床編
どんなに暖房の設定温度を上げても「床下から冷空気が伝わってきて寒い」「足元が冷え込む」とお悩みの人は多いようです。これは、床などに隙間があり、床下から冷気が入り込んでいるから。床への断熱処理が充分に行われていない場合も、外気の気温がそのまま床に伝わってしまいます。
床断熱の方法には、「床下断熱工法」と「基礎断熱工法」の2種類があります。おすすめは、基礎断熱工法です。建物の基礎コンクリート自体を断熱材で覆い、床下空間を室内空間にしてしまう方法です。気密性が高く外気の影響を受けにくいため、家全体があっという間に暖かくなります。
換気編
高気密・高断熱の新築住宅では、24時間換気システムを設置することが義務化されています。24時間換気システムとは、家の中の空気を自動的に入れ替えるシステムのこと。有害物質の除去や、空気のよどみに起因する結露の防止、結露・カビ・ダニなどによるハウスダストアレルギーの発症予防にも効果があります。
注意したいのは、24時間換気システムにはいくつかのタイプがあり、タイプによっては部屋の暖かさを逃がしてしまう場合があること。おすすめは「第一種換気」です。熱交換器と併用すれば、外気の温度を室温に近づけて取り入れられるため、室温を冷やさずに換気を行うことが可能です。
暖房器具
エアコンやヒーターなどを使っても「部屋がなかなか暖まらない」「設定温度をあげても部屋が寒い」「足元から冷気が上がってくる」と感じる場合は、暖房器具自体の故障の他に、「コールドドラフト現象が起こっている」「断熱材が入っていない・劣化している」「住まいに合った暖房器具を使っていない」などさまざまな原因が考えられます。
家全体をしっかりと暖めたいなら、部屋の広さ、地域や住宅の構造に配慮した暖房機器を選ぶことが大切です。また、暖房器具本来の性能を活かすため、住宅の気密性や断熱性などもしっかりと考慮しなくてはなりません。
【番外編】日射取得
「暖かい家を作るためには、外気温の影響を受けないようにすることが大切」として、最近は窓をできるだけ付けない、あるいは小窓にする家が増えています。しかし、たとえ窓が大きく(窓が多く)ても、日射取得に配慮すれば、充分に暖かい家を実現することは可能です。
日射取得とは言葉通り、太陽の光を取り入れること。季節によって異なる太陽の角度を考え、適切な場所に窓を設置したり、庇や窓の大きさ・窓の種類などを工夫したりすることで、冬は日射取得、夏は日射遮蔽をすることができます。気密・断熱性能を高め、日射熱取得率のバランスを追求した家づくりで、一年中快適な住まいを作りましょう。