マイホームを検討する際、「夏涼しく冬暖かい家が欲しいな」と考える人は多いでしょう。
実は「夏涼しく冬暖かい家」は、間取りを工夫することでも実現することが可能です。
一年を通して温度環境が整っている家には、以下のようなメリットがあります。
- 室温へのストレスがなく、心身共に健康に暮らせる
- 暖房や冷房をつける時間や回数が少ないため、光熱費を削減できる
- カビやダニの発生原因となる結露を防げる
では実際に「夏涼しく冬暖かい家」にするために、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
ここでは、主に間取りに着目して3つのポイントをご紹介します。
「夏涼しく冬暖かい家」を実現するには?
間取りで気を付けるべき3つのポイント
1.自然エネルギーをうまく取り入れる
最近は、窓の少ない家が増えています。
住宅の中でも特に外気温の影響を受けやすいのが窓だといわれており、窓から熱が逃げない(入り込まない)ように、窓を小さくしたり減らしたりするのです。
でも実は、日射取得(遮蔽)を意識した設計にすることで、より「夏涼しく冬暖かい家」を実現しやすくなります。
日射取得とは、太陽の光を室内に取り込むこと。
日射遮蔽は、特に夏場に差し込む太陽熱を遮ることです。
冬に晴れた日が多い地域や、周りに日差しを遮る建物がないエリアなら、日射取得できる位置に窓を設けることで、エアコンを使わなくても冬の昼間に20℃近い室温を得ることが可能です。
日射遮蔽では、日の当たる南側の窓に庇や軒を付けるのがおすすめ。
太陽の高さは季節によって変わるため、軒の長さを調節することで、夏も冬も適切な太陽エネルギーを室内に取り込むことができるでしょう。
2.部屋の形状や間取りをシンプルにする
入り組んだ形の空間には室温ムラができやすく、「暖房に近い場所は暑いのに、離れた場所は寒すぎる」といった現象が起きてしまいます。
このため、各部屋は凹凸のないシンプルなデザインにするのがおすすめです。
また、天井を低くして家の表面積を小さくするのもポイントです。
吹き抜けやリビング階段などの大空間も、できるだけ作らない方が良いでしょう。
ひと部屋の体積を小さくすることで、少ない空調でも快適な室温を保つことができます。
3.空気の循環を意識する
室内の空気を効率的に循環させることで、より快適な室内環境を実現することができます。
長方形など、シンプルな形の部屋では空気の流れが良く、エアコンの暖かい(冷たい)空気が循環しますが、空気が流れにくい部屋では暖まるのに時間がかかってしまいます。
高気密・高断熱の家なら、換気システムを導入するのも一つの手段。
家の中の空気を自動的に入れ替えるシステムによって、各部屋の温度差がない、快適な住まいを実現することができます。
間取りを工夫し「暖かい家」を実現している施工事例(間取り図)
では、実際に間取りを工夫して「冬暖かくて夏涼しい家」を実現しているお家の例をご紹介します。

このお家では、採光窓はしっかり取りつつも、窓の高さを抑えたり小さくすることで熱の移動を抑えたり、廊下を中心に置くことで「廊下に出ると寒い」といったことを極力減らしています。
各部屋の導線と温度管理を同時に工夫している好例と言えるでしょう。
また、長時間過ごす部屋は南側に、一時的にしか使わない部屋は北側に配置することで、日射による暖かさも取り入れらるように。
寝室は玄関前の庇があるため、直射日光が入りづらくなっています。
あわせて、設備面として各部屋にパネルヒーターを設置し、部屋全体を均一に暖めています。
間取り+αで工夫したいポイント
夏涼しく冬暖かい家を作るために、気密性・断熱性が必要なのは言うまでもありません。
加えて、木材には熱を通しにくい性質や、周囲の湿度を調整する性質があるため、乾燥させた良質な木材を内装に使うことで、室内の温度・湿度を調整することができます。
また、間取り以外にも、以下のようなポイントを押さえることで、暖かい家を実現できます。
- 高性能な断熱材の使用:壁、床、天井に高性能な断熱材を使用し、熱の損失を防ぐ。
- 二重窓・複層ガラスの採用:窓からの熱の出入りを抑えるために、断熱性能の高い窓を選ぶ。
- 気密性の確保:隙間風を防ぐために、建物全体の気密性を高める施工を行う。
- 床下・天井裏の断熱強化:見落としがちな床下や天井裏も断熱することで、全体の断熱性能を向上。
- 暖房設備の最適化:エコで効率的な暖房システムを導入し、室内をムラなく暖める。
- 外壁・屋根の遮熱対策:外壁や屋根に遮熱塗料を使用し、外部からの熱を遮断。
家の中で、もっとも熱が出入りしやすいのは「窓」

実は、家の中でもっとも熱が出入りしやすいのは「窓」です。
冬場の暖房時には、58%の熱が窓やドアといった開口部から逃げていくとされており、夏の冷房時には、73%の熱がこれらの開口部から侵入してくるというデータがあります。外壁や屋根、床と比べても、開口部からの熱の出入りが圧倒的に多いことがわかります。
せっかく断熱材をしっかり入れても、窓の断熱性能が低ければ、そこから一気に室温が乱れてしまうのです。
そのため、家の快適さを保つためには、複層ガラスや樹脂サッシの採用など、窓の断熱性を高めることがとても重要です。外からの暑さ・寒さの影響を受けにくくなり、冷暖房効率もアップするため、光熱費の節約にもつながります。
※参照元:日本建材・住宅設備産業協会(https://www.kensankyo.org/syoene/qanda/mado/a_9.html)
夏の暑さ対策/冬の寒さ対策として
考えておくべきことは?
季節ごとの快適さをさらに高めるためのポイントも見てみましょう。
夏の暑さ対策
- 通風計画を重視:風の入り口と出口を考慮し、家全体に風が通るように窓やドアを配置する。
- 中庭や坪庭の活用:建物内部に中庭を設けることで、自然な風の流れを生み出す。
- 軒や庇の設計:直射日光を遮り、室内温度の上昇を防ぐために適切な長さの軒や庇を設ける。
- 緑のカーテンの利用:南側の窓に植物を配置し、自然な日陰を作る。
冬の寒さ対策
- 日当たりの良い南向きのリビング:リビングやダイニングを南側に配置し、日中の太陽熱を取り込む。
- 動線の短縮:寒い時期に長い廊下を移動しなくて済むよう、コンパクトな動線を設計する。
- 階段や玄関の位置:冷気が入りやすい玄関や階段を中心から遠ざけ、居住空間の温度低下を防ぐ。
- 収納スペースの配置:外壁面にクローゼットや収納を配置し、断熱効果を高める。
まとめ





住研ハウスは、北海道・苫小牧・千歳・恵庭エリアにおける「夏涼しく冬暖かい家」の建築で実績豊富なハウスビルダーです。2×4材より50mmも多い140mmもの充填断熱材や、家全体を効率的に換気する全熱型第1種換気方式を採用し、季節を問わず快適な住まいづくりを行っています。2025年上旬に「UA値0.2以下」「断熱等級7」の家づくりに対応するため準備中(※2024年5月時点の情報です)。