せっかく家を建てるなら「暖かい家」が良い、とお考えの方は多いでしょう。暖かい家には気密性と断熱性、そして住まいの構造に合った暖房器具が必要です。ここでは、家が寒くなる原因と対策、家を暖かくする暖房器具の選び方などをご紹介します。

伊藤修平さん
住研ハウス苫小牧本社の建築部長。暖かい家づくりの豊富な知識に限らず、2級建築士や増改築相談員・既存住宅現況検査技術者・BIS-M・外壁診断士など多数の資格を持つ。
どうして家が寒いの?その原因と対策は?
エアコンやヒーターなどを使っても「部屋がなかなか暖まらない」「設定温度をあげても部屋が寒い」「足元から冷気が上がってくる」と感じる場合は、暖房器具の故障の他にいくつかの原因が考えられます。
コールドドラフト現象が起こっている
コールドドラフト現象とは、暖房器具によって暖まった空気が冷たい窓に当たって冷やされ、床に溜まってしまう現象のことです。天井付近の暖まった空気との温度差は5℃以上もあると言われています。こうなると、どんなに暖房の設定温度を上げても、暖めたそばから冷えるので光熱費がかかります。
対策として有効なのは、厚手のカーテンを設置して冷気を遮断する、窓付近にヒーターを設置する、窓に断熱シートを貼る、断熱性の高いトリプルガラス窓にすることなどです。
断熱材が入っていない・劣化している
一般的な住宅では、壁や床に断熱材が使われており、外気の影響を受けにくい構造になっています。しかし、古い建物などで断熱材が入っていない・不足している・素材が劣化していると、部屋の暖かい空気が逃げてしまう、あるいは外の冷たい空気が室内に入ってきやすくなります。
壁は、家の中でも特に広い表面積を有する場所。このため、断熱性能の低さが直に室温に影響をあたえてしまうのです。
対策としては、壁に断熱シートを貼ること。それでも改善できない場合は、リフォームや引越しを検討した方が良いでしょう。
住まいに合った暖房器具を使っていない
住宅の構造や間取りなどによって、必要な暖房の種類は異なります。例えば木造住宅は、夏涼しく、冬暖かいのが特徴。反対に鉄筋コンクリート造は気密性が高く熱を溜めやすい構造のため、冬に暖かい一方、夏は熱がこもりやすくなります。また、暖かい空気は上に、冷たい空気は下にたまりやすい性質があるため、吹き抜けがある住まいでは、足元付近が寒く感じるかもしれません。
暖房器具の種類もさまざまです。種類によって暖められる範囲が異なるため、それぞれの特徴に合った使い方をすることが大切です。
北海道の家を暖かくする暖房器具の選び方とは
家をしっかりと暖めるためには、住宅にあった暖房器具を選ぶことが大切です。室内全体を暖めたいなら、部屋の広さにあった暖房機器を選びましょう。足元だけを暖めたいなら、床暖房やホットカーペットでも充分かもしれません。また、エアコンとカーペットを使用するなど、暖房機器を併用するのもおすすめです。
地域や住宅の構造も考慮しましょう。とくに、北海道や東北などの寒さの厳しい地域では、住宅全体もしくは室内全体を暖められる暖房機器を選ぶことが重要です。暖房器具本来の性能を活かすため、住宅の気密性や断熱性などもしっかりと考慮しなくてはなりません。
ぬかりなく暖かい家にするなら、暖房器具と同様に家自体にもこだわろう
「暖房機器を使っても家が寒い」と感じるのは、暖房器具自体に問題がある場合と、住まいの問題が考えられます。住宅の間取りや広さに合った暖房器具を選ぶこと、そして、住宅の気密性や断熱性も考慮することが大切です。

伊藤修平さん
住研ハウスで採用しているパネルヒーターは、各パネルヒーターで個別に温度調整ができるタイプを採用しております。
例えば寝室では布団をかけるので少し温度を下げる、脱衣室では服を脱ぐので温度を上げる、といった使い方が可能です!