せっかく家を建てるなら「暖かい家」が良い、とお考えの方は多いでしょう。高気密・高断熱の暖かい家には24時間換気システムが必要です。ここでは、家が寒くなる原因や家を暖かくする方法、暖かい家の選び方などをご紹介します。

伊藤修平さん
住研ハウス苫小牧本社の建築部長。暖かい家づくりの豊富な知識に限らず、2級建築士や増改築相談員・既存住宅現況検査技術者・BIS-M・外壁診断士など多数の資格を持つ。
家が寒くなる原因は24時間換気システムにある?
24時間換気システムとは、家の中の空気を自動的に入れ替えるシステムのことです。有害物質の除去や、空気のよどみに起因する結露の防止、結露・カビ・ダニなどによるハウスダストアレルギーの発症予防にも効果があります。
高気密・高断熱住宅が普及する一方で、住宅の建築資材に含まれる化学物質が室内に滞留し、シックハウス症候群やアレルギー症状を訴える人が増えたことを受け、新築住宅に24時間換気システムを設置することが義務化されました。
注意したいのは、24時間換気システムにはいくつかのタイプがあり、タイプによっては部屋の暖かさを逃がしてしまう場合があるということです。高気密・高断熱住宅で24時間換気システムを入れているのに「部屋が寒い」と感じたら、間違った換気システムを導入している可能性があります。
24時間換気システムの種類とは?
24時間換気システムには、大きく分けて「第一種換気」「第二種換気」「第三種換気」の3種類があります。
第一種換気とは?メリット・デメリット
第一種換気とは、給気口と排気口の両方にファンを設置して、空気の入れ替えを行うシステムのことです。機械を使って強制的に空気の入れ替えを行うため、効率的に換気できる点がメリット。熱交換器を設置すれば、外気の温度を室温に近づけて取り入れられるため、外気温の影響を受けにくくなります。一般住宅から商業施設まで、幅広く採用されています。
デメリットは、給気と排気の両方にファンが必要で導入コストがかかる点です。機械を動かすための電気代やメンテナンスコストなども必要です。
第二種換気とは?メリット・デメリット
第二種換気は、空気を入れる給気口にだけファンを設置するシステムです。排気口にはファンがないため、入ってきた空気を外に出すために、窓やドアなどを定期的に開けなくてはなりません。給気口以外から外気が入り込みにくく、菌や汚染物質の侵入を防げるため、工場や研究所、無菌室や手術室などでは多く導入されています。
ただし、給気に対して排気力が弱いため、結露やカビが発生しやすい点はデメリット。また、排気を行う際にどうしても外気温の影響を受けてしまいます。このため、住宅にはおすすめできません。
第三種換気とは?メリット・デメリット
第三種換気は、第二種換気とは反対に、排気のみを強制的に行うシステムです。窓やドアを開けて空気を取り入れ、各部屋の給気口や、トイレ・浴室などの換気扇から排気を行います。室内に湿気が溜まりにくく、導入費用やランニングコストも安いため、多くの木造住宅やアパート・マンションなどで採用されています。
ただし、第二種換気と同様に、給気口・換気扇付近は外気温の影響を受けやすい点がデメリットです。空調効率が落ちる上、給気口の近くにいると寒さを感じやすいかもしれません。「寒いから」と給気口を閉めてしまい、きちんと換気できていない例も多いようです。
暖かい家にするためには、どの24時間換気システムがいいの?
「暖かい家」を作りたい方は、第一種換気を選ぶのがおすすめです。「熱交換システム」と組み合わせれば、外気の影響を受けずに効率よく換気を行うことが可能。「せっかく高気密・高断熱の住宅にしたのに、換気で寒い外気が入ってくる…」ということもありません。特に寒冷地では、省エネ効果が期待できるでしょう。次のページでは、換気システムの費用相場についても紹介しています。
寒い冬でも快適に過ごせる家が欲しいなら、24時間計画換気システムの中でも、第一種換気を選びましょう。

